FXの専門家の意見
ユーロだけでなく、イギリス人はドルにも積極的に投資する。
彼らにとって、欧州のユーロが親戚なら、アメリカのドルはもっと身近な兄弟のようなものだ。
ただ、彼らは、漫然と資産の一部をユーロやドルに置き換えているわけではない。
ふだんから国際情勢や為替や金利の動きをよく見つめ、ここぞというタイミングを探っている。
そのために、SカイニュースやCNNなどの衛星放送を見て、情報収集に努めている。
同じ島国ながら、日本人が他国の通貨を全く他人のように感じているのに対し、イギリス人は、ユーロやドルに親戚のように接している。
最初に述べたように、過去の歴史の違いに由来するものと思われる。
誰でも、資産を現金や債券、株式のような動産と、家や土地などの不動産に分散するセオリーは知っているが、日本人はどうしても自国通貨の円に執着しがちだ。
日本人の行動範囲もずいぶんと国際的になっている。
外貨に対してもっと気楽に対応してもいいのではないだろうか。
イギリス人を見習って、ユーロも、ドルも、ポンドも親戚と考え、資産の一部をこれらの外貨で運用するのは案外、妙案かも知れない。
アルヴィン.ホールは、BBCテレビ2チャンネルで人気のあるマネー番組「あなたのお金あるいはあなたの人生」(○○)の黒人司会者である。
彼はこの番組で、いろいろなお金の問題、すなわちいかに賢くお金を節約し資産を増やすか、そのためにはどのような生活態度が必要かについて、多くのヒントやアイディアを語っている。
それらをもとに2002年初めに番組名と同じタイトルの本を出し、ベストセラーになっている。
彼が相手にしているのは、特殊な金持ちや投資家ではない。
ごく平均的な普通の市民こそが彼が語りかける対象である。
だから、彼の話には、シティの金融マン顔負けの専門的な知識も、誰も気がつかなかった資産作りの裏技も出てこない。
それでいて、多くの視聴者の心をつかみ、本も売れている。
なぜだろうか。
その理由のひとつは、普通の人に向けて、普通のことを語りながら、含蓄に富み、説得力があるからである。
たとえば彼は著書にこう書いている。
「小さい頃から子供たちに家庭の手伝いをさせるのは良い考えです。
小さくても出来ること(掃除や食卓の準備など)がきっとあるでしょう。
小遣い稼ぎのためでなく、無償でやらせるのです。
お金と関係あるでしょうか?厳密にはありません。
幼い時から、人生には『責任』と『楽しみ』の両方があるということを学んだ子供たちは、成長して大人になった時、賢くお金を扱うことが出来るでしょう」彼はまた、このようにも書いている。
「お金の買にはまりやすい人には二種類あるということを私は発見しました。
お金のことを全く考えようとしない人と、いつもお金のことばかり考えている人です」彼は、お金を貯め、資産を作るのは、人生を楽しむためであって、資産形成それ自体が目的になってはいけないと諭す。
「経済上の成功で大事なことは、いくら資産を持っているかということではありません。
持っているお金を、長く持続する喜びのためにいかに使うかということです」彼は、家族とお金のことだけでなく自分の人生にとって大切なものについて、話し合う習慣をつけなさいと教えている。
これらの教えから、アルヴィン.ホールの、資産作りに対する基本的な考え方が見えてくる。
資産作りを自然な人生の一部分として捉え、ごく健全な社会生活や家庭生活の中で、無理なく行なおうという考え方である。
特殊な知識や方法に頼るのではなく、日々の暮らしのあり方を少しだけ変えるだけで、資産は形成できるのだと彼は主張する。
だから、彼の提案は、ある意味できわめて常識的である。
たとえば、「生活費のバランスシート(つまり家計簿)を作る」「クレジットカードは条件を比較して、2枚の良質なカードだけ持つ」「クレジットカードは支払いまでの一ヶ月のメリットをフルに享受するが、精算は1回で済ませ、余計な金利が発生する延べ払いにはしない」「月々の預金の計画を立て、それに固執する」「必要以上の生命保険はかけない」「長期的にゆっくり価値が増加する不動産や株、債券を持つ」などである。
どれもしごく当然のことだが、なかなか実行は難しい。
実はこれらの教えは、現在のイギリス人にとって、耳が痛いことばかりなのである。
というのも、ここ数年の好景気と低金利、低インフレ、不動産の資産価値の高騰で、イギリス人の消費態度がかなり変わって来ているからである。
イギリス人は本来、日本人に比べ間違いなく堅実で、質素である。
ショッピングモールに買い物に出かけても、昼飯はレストランでとらず、ベンチに腰掛け、持参のサンドイッチで済ます人も多い。
彼らは見てくれを決して気にしない。
ブランドものの衣服やアクセサリーにお金をかけない点でも、日本人よりはるかに地味で質素である。
ところが、最近、彼らの消費生活に変化が見えて来た。
最近、彼らのクレジットカードや銀行借入れによる借金は、増加の一途をたどっているのである。
90年代初めまでの不景気の反動と保有不動産の価値の上昇が、彼らの消費行動を刺激している面もある。
また、若い層には自分の家を購入するため、無理をしてローンを組み、収入に見合わない借入金を抱えた人も増えている。
ふだんは冷静なあのイギリス人が、資産バブルでやや浮き足立っているのだ。
統計によれば、イギリスの2003年の消費者信用融資額(月次)は、2年前の約1.8倍に、また住宅ローン(同)は約2倍に増えている。
この状態を、日本のバブル景気の時代に似ていると指摘するエコノミストさえいる。
こうした時期に、もう一度足元を見つめ直し、家族との関係や社会生活を大事にしながら、堅実に資産を築いていこうと語りかけるアルヴィン.ホールの言葉は、もともと質素を旨としてきたイギリス人の心に強く訴えるものがある。
折しも、借りたお金の返済に行き詰まり自己破産する人も増加している。
2003年上半期の自己破産件数は前年同期比13パーセント増の約1万7000件であった。
新聞に「イギリスの家計は、かつてなかったほどの借金漬けになっている」と警告を発する記事が載るようになった。
このような時期にこそ、アルヴィン.ホールの教えが必要なのであろう。
「極端にリスクを避けるのも、極端にリスクを取り過ぎるのも、どちらもよくない。
短期運用にはリスクの低いものを選び、リスクの高いものは長期運用にしなさい」と彼は言う。
その教えは、誰にも分かりやすく、高額所得者でなくともすぐに応用出来るものばかりだ。
彼の言葉は、もう一度イギリス人らしい原点に立ち返ろうと呼びかけているようでもあり、今の時代ではかえって新鮮に響く。
だから、多くの人の共感を呼ぶのだ。
そこには、危うい資産バブルで足をすくわれる前に、うまくバランスを取って生き抜こうとする「生き方上手」イギリス人の知恵と性格が反映されている。
ロンドンのNインターナショナルに勤務していたG.H氏の九七年度の年収は、4000万ポンド(当時換算レートで約85億円)に達したという。
Hンズ氏は今では独立して自分の会社を経営しているが、当時はサラリーマンで、企業買収と資産証券化事業のチームを率いていた。
当時、買収したパブ.チェーンを転売して大きな利益をあげたと新聞でも報じられた。
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